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アクティブエイジングの基礎知識やWHOの定義を知りたい方
アンチエイジングなど他の類似概念との違いを整理したい方
自分や家族が日常生活で取り組める具体的な実践方法を知りたい方
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*2026/02/04 時点

アクティブエイジングとは
アクティブエイジングは、高齢になっても健康を維持しながら社会とのつながりを保ち、自分らしく生活していくための考え方です。ここでは、その意味とWHOによる定義、注目されるようになった背景、健康寿命やQOLとの関係を解説します。
アクティブエイジングの意味とWHOによる定義
アクティブエイジングとは、人々が年齢を重ねても生活の質を保てるよう、健康・参加・安全の機会を最適化していくプロセスを指す考え方です。WHOは2002年(平成14年)に公表した政策枠組み「Active Ageing: A Policy Framework」でこの定義を示し、加齢を否定するのではなく、高齢期をより良く生きるための条件を整えるという視点を打ち出しました。
アクティブエイジングでは、主に次の3つの要素が重視されています。
- 健康:心身の健康を維持し、必要な医療や介護を受けられる環境を整える
- 参加:仕事や地域活動、家庭生活などを通じて社会との関わりを持つ
- 安全:安心して暮らせる住環境や社会保障などの仕組みを整える
ここでいう「アクティブ」は、仕事や運動を続けることだけを意味するものではありません。家庭や地域での活動、人との交流なども含め、本人の能力や希望に応じた多様な関わり方が重視されます。身体的健康にとどまらず、精神面や社会生活を含めて包括的に捉える視点が求められます。
出典:WHO「アクティブ・エイジング」の提唱――その政策的枠組みとまちづくりチェックポイント――|WHO(World Health Organization)
アクティブエイジングが注目されるようになった背景
アクティブエイジングが注目される背景には、急激な高齢化の進展が挙げられます。内閣府「令和7年版高齢社会白書」 によると、2024年(令和6年)10月1日時点の65歳以上人口は3,624万人(高齢化率29.3%)に達しました。同白書は2070年(令和52年)の高齢化率を38.7%と推計しており、高齢期の過ごし方は社会全体の大きな課題です。
アクティブエイジングが求められる主な背景
- 高齢化の進展:高齢者人口が増加し、高齢期をどのように過ごすかが重要になっている
- 平均寿命の延伸:長くなった高齢期を健康で充実して過ごすことが求められている
- 医療・介護ニーズの増加:できる限り自立した生活を続けることが重要になっている
- 高齢者の社会参加への期待:経験や知識を生かし、地域や社会で活躍する機会が重視されている
高齢者を支援する側としてのみ捉えるのではなく、経験や能力を生かして社会に参加する存在として考える視点も広がっています。こうした高齢化社会への対応と価値観の変化が、アクティブエイジングへの関心を高める背景にあります。
健康寿命とQOLの向上を目指すアクティブエイジングの考え方
アクティブエイジングでは、単に寿命を延ばすだけではなく、健康寿命やQOL(生活の質)を高めることが重視されています。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を指します。
厚生労働省の資料によると、2022年(令和4年)の健康寿命は男性72.57年、女性75.45年です。同年の平均寿命(男性81.05年、女性87.09年)との差は、男性で8.49年、女性で11.63年に及びます(※平均寿命と健康寿命の差は、丸め誤差等により単純計算の数値とは一致しません)。この差は、日常生活に何らかの制限がある期間を意味します。
健康寿命やQOLの向上につながる主な取り組みには、次のようなものがあります。
取り組み | 具体例 |
|---|---|
運動 | ウォーキングや体操などを無理のない範囲で続ける |
食生活 | 栄養バランスを意識し、規則正しい食生活を送る |
社会参加 | 地域活動やボランティア、趣味の集まりなどに参加する |
人との交流 | 家族や友人、地域の人とのコミュニケーションを保つ |
生活環境 | 安全で暮らしやすい住環境を整え、必要な支援を活用する |
健康・社会参加・生活の安心を総合的に支え、このギャップを極力縮めて充実した高齢期を目指すことこそが、アクティブエイジングの本質です。

アクティブエイジングを理解する3つの柱
アクティブエイジングを理解するうえでは、「健康」「参加」「安全」という3つの柱を押さえることが重要です。これらは互いに関わりながら高齢期の生活の質を支えています。ここでは、それぞれの柱について解説します。
「健康」|心身の健康を維持して自立した生活を続けること
アクティブエイジングにおける「健康」とは、病気を予防するだけでなく、心身の機能を維持し、できる限り自立した生活を続けることを意味します。年齢を重ねると、筋力や体力が低下したり、生活習慣病のリスクが高まったりするため、日頃から健康づくりへの取り組みが不可欠です。
心身の健康を維持するための主な取り組みには、次のようなものがあります。
- 適度な運動:ウォーキングや体操などを無理のない範囲で継続する
- バランスのよい食生活:必要な栄養素を意識し、規則正しく食事をとる
- 定期的な健康管理:健康診断や必要な医療を活用し、病気の早期発見・治療につなげる
- 心の健康維持:趣味や人との交流などを通じてストレスをため込まないようにする
身体面だけでなく精神面にも目を向け、必要に応じて医療や介護などの支援を活用することも重要です。自分の状態に合った健康管理を続けることが、自立した生活やQOLの維持・向上につながります。
「参加」|仕事や地域活動を通じて社会とのつながりを保つこと
アクティブエイジングにおける「参加」とは、仕事だけでなく、地域活動やボランティア、趣味、家庭での役割などを通じて社会とのつながりを持ち続けることです。
社会参加の広がりは、統計にも表れています。総務省統計局が2025年(令和7年)9月に発表した集計によると、2024年(令和6年)の65歳以上の就業者数は930万人で、21年連続の増加となり過去最多を記録しました。就業率は25.7%で、年齢階級別では65〜69歳が53.6%、70〜74歳が35.1%、75歳以上が12.0%と、いずれも過去最高となっています。就業者総数に占める65歳以上の割合は13.7%であり、就業者のおよそ7人に1人が高齢者という状況です。
高齢期における社会参加には、次のようにさまざまな形があります。
参加の形 | 具体例 |
|---|---|
就労 | 希望や体力に合わせて仕事を続ける |
地域活動 | 自治会や地域イベントなどに参加する |
ボランティア | 経験や知識を生かして地域や人を支援する |
趣味・学習 | サークルや講座などを通じて人と交流する |
家庭での役割 | 家事や家族の支援など、家庭内で役割を持つ |
社会参加は、人との交流を増やし、孤立の防止にもつながります。ただし、無理に活動するのではなく、本人の希望や体力、生活状況に合わせて参加方法を選ぶことが大切です。
「安全」|安心して暮らし続けられる生活環境を整えること
アクティブエイジングにおける「安全」とは、高齢になっても安心して生活できる環境や支援体制を整えることです。心身が健康で社会参加への意欲があっても、住環境の不備や支援不足により、自立した生活の維持が難しくなる恐れがあります。
安心して暮らすためには、主に次のような環境づくりが重要です。
- 住環境の安全確保:段差の解消や手すりの設置などにより転倒事故を防ぐ
- 地域の支援体制:見守りや生活支援など、必要なときに助けを得られる環境を整える
- 医療・介護サービスの活用:心身の状態に応じて適切なサービスを利用する
- 経済的な安定:年金や社会保障制度などを活用し、生活基盤を確保する
- 災害・犯罪への備え:避難方法や防犯対策を確認し、緊急時に備える
本人の努力だけでなく、家族や地域、行政などが連携して生活を支える視点も欠かせません。安全な生活環境と支援体制が整っていることで、高齢になっても住み慣れた地域で自分らしい生活を続けやすくなります。

アクティブエイジングと似た考え方との違い
アクティブエイジングと関連する言葉には、アンチエイジングやプロダクティブ・エイジング、エイジズムなどがあります。ここでは、それぞれとの違いや共通点を比較しながら、アクティブエイジングの特徴を解説します。
アンチエイジングとの違いは「若さ」だけを目的としないこと
アンチエイジングは、一般的に加齢に伴う身体機能や外見の変化に対処し、健康や若々しさを保つための取り組みを指します。一方、アクティブエイジングは加齢そのものを否定的に捉えず、年齢を重ねても健康や社会とのつながりを保ち、自分らしく生活することを重視する考え方です。
両者の主な違い
比較項目 | アクティブエイジング | アンチエイジング |
|---|---|---|
主な目的 | 高齢期のQOL(生活の質)を高める | 加齢による変化を抑え、健康や若々しさを保つ |
主な対象 | 健康・社会参加・生活環境など | 身体機能や健康、美容など |
加齢の捉え方 | 年齢を重ねながら自分らしく生活する | 加齢に伴う変化の予防・抑制を目指す |
取り組み | 健康づくり、社会参加、安全な環境づくりなど | 運動、食生活、スキンケアなど |
つまりアクティブエイジングでは、若さを保つことだけを目的とせず、年齢や心身の状態に応じて充実した生活を送ることに重点が置かれています。
プロダクティブ・エイジングとの違いと共通点
プロダクティブ・エイジングとは、高齢者がこれまで培った経験や知識、能力を生かし、就労やボランティア、家族への支援などを通じて社会に貢献していくことを重視する考え方です。アクティブエイジングも社会参加を重視しているため、両者には共通する部分があります。
主な違いと共通点は、次のように整理できます。
- 共通点:高齢者を支援されるだけの存在として捉えず、能力や経験を生かせる存在として考える
- 共通点:高齢期における社会参加や人とのつながりを重視する
- アクティブエイジング:健康・参加・安全を幅広く捉え、QOLの向上を目指す
- プロダクティブ・エイジング:就労やボランティアなど、社会における役割や貢献に重点を置く
ただし、高齢期の過ごし方は社会への貢献だけで評価されるものではありません。アクティブエイジングでは、本人の希望や能力に合わせた多様な参加のあり方を尊重しながら、健康や生活の安心も含めて総合的に支えることが重視されています。
エイジズムとの関係から考える年齢にとらわれない社会参加
エイジズムとは、年齢を理由とした固定観念や偏見、差別などを指す言葉です。例えば「高齢者には新しいことはできない」といった決めつけは、高齢者が社会参加する機会を狭める可能性があります。
年齢にとらわれない社会参加を実現するためには、次のような視点が重要です。
- 年齢だけで本人の能力や可能性を判断しない
- 本人の希望や体力に応じて活動を選択できる環境を整える
- 就労や地域活動、趣味など多様な社会参加の機会を設ける
- 世代を超えて交流できる地域や職場の環境をつくる
- 高齢者自身の意思や選択を尊重する
アクティブエイジングは、年齢だけを理由に活動の可能性を制限せず、一人ひとりが自分に合った形で社会と関わることを重視する考え方です。エイジズムをなくし、年齢にかかわらず本人の意思や能力が尊重される環境を整えることは、その実現に欠かせません。

アクティブエイジングの実践例|日常生活でできる身近な取り組み
アクティブエイジングは、特別な活動を始めなければ実践できないものではありません。ここでは、運動・食事・睡眠、趣味や学習、社会参加、就労、人との交流など、日常生活で実践できる取り組みを解説します。
運動・食事・睡眠によって健康維持を目指す方法
心身の健康を維持するための生活習慣は、アクティブエイジングを実践するうえで重要な土台となります。運動だけに取り組むのではなく、食事や睡眠も含めて日々の生活を整えることが大切です。
健康維持のために意識したいポイント
項目 | 取り組み例 |
|---|---|
運動 | ウォーキングや体操など、体力に合った運動を無理なく続ける |
食事 | 主食・主菜・副菜を意識し、さまざまな食品をバランスよくとる |
睡眠 | 規則正しい生活を心がけ、自分に必要な休息を確保する |
健康管理 | 健康診断や定期的な受診などを通じて健康状態を確認する |
重要なのは一時的に無理をすることではなく、自分の体力や健康状態に合わせて継続することです。必要に応じて医療や介護などの支援も活用することで、健康寿命の延伸や自立した生活の継続につながります。
趣味や学習を通じて生きがいをつくる方法
趣味や学習を楽しむことも、アクティブエイジングの身近な実践方法です。好きなことに取り組んだり、新しい知識や技術を身につけたりする機会は、生活に楽しみや目標をもたらします。
例えば、次のような活動が考えられます。
- 読書や映画、音楽など好きなことを楽しむ
- 園芸や料理、手芸など新しい趣味を始める
- パソコンやスマートフォンなどの使い方を学ぶ
- 語学や歴史など興味のある分野を学習する
- 地域の講座やサークル、文化教室などに参加する
年齢を理由に挑戦を諦める必要はありません。興味を持てる活動にマイペースで取り組むことが、達成感や生きがい、ひいてはQOL向上をもたらします。
地域活動やボランティアで社会参加を続ける方法
地域活動やボランティアへの参加は、社会とのつながりを維持する方法の一つです。地域の人と交流する機会を持つことで、生活にメリハリが生まれるだけでなく、孤立の予防や生きがいづくりにもつながります。
社会参加の方法には、次のようなものがあります。
- 自治会や町内会などの地域活動に参加する
- 地域の清掃や美化活動に参加する
- 子どもの見守りなど地域の支援活動に関わる
- 福祉施設や地域イベントなどでボランティアをする
- 趣味や特技を生かして地域の人と交流する
ただし、社会参加は無理に行うものではありません。本人の体力や興味、生活状況に合わせて、負担にならない活動を選ぶことが重要です。
就労や新しい役割を通じて経験・能力を生かす方法
高齢期の就労や新しい役割への挑戦も、実践方法の一つです。長年の仕事や生活で培った経験・知識・技能は、年齢を重ねてもさまざまな場面で活用可能です。働くことは収入の確保にとどまらず、人との交流や生活の目標を得る機会にもつながります。
経験や能力を生かす方法として、例えば次の選択肢があります。
方法 | 具体例 |
|---|---|
就労を続ける | 再雇用制度などを利用して経験を生かす |
働き方を変える | 短時間勤務など、体力や生活に合った働き方を選ぶ |
新しい仕事に挑戦する | 興味や得意分野を生かせる仕事を探す |
地域で役割を持つ | 地域活動の運営や行事のサポートなどを担当する |
経験を伝える | 若い世代への助言や技能・知識の共有を行う |
一方で、働き続けることだけがアクティブエイジングではありません。本人の希望や健康状態を尊重し、自分に合った役割や活動を選ぶことが大切です。
家族や友人との交流を保ち社会的孤立を防ぐ方法
家族や友人、地域の人との交流を保つことは、社会的孤立を防ぎ、心身の健康を維持するうえで重要です。退職や家族構成の変化などによって人と接する機会が減ると、社会とのつながりが薄くなる場合があります。
人とのつながりを保つ方法には、次のようなものがあります。
- 家族や友人と定期的に会話や食事を楽しむ
- 電話やメール、SNSなどを活用して連絡を取り合う
- 趣味のサークルや地域の集まりに参加する
- 近隣の人と挨拶や日常的な会話を交わす
- 離れて暮らす家族や友人とオンラインで交流する
対面にとどまらず、外出が難しくても電話やオンラインでつながりを維持できます。自分に適した方法で交流を保つことが、安心して暮らすための大きな支えになります。

日本におけるアクティブエイジングの推進と取り組み
日本では高齢化が進むなか、高齢者が健康で自立した生活を続け、社会とのつながりを保てるようさまざまな施策が進められています。ここでは、関連する主な取り組みを解説します。
健康寿命の延伸に向けた国・自治体の取り組み
日本では、平均寿命の延伸だけでなく、健康寿命の延伸に向けた取り組みも進められています。国は健康づくりに関する方針や目標を示し、自治体では地域の状況に応じた健康づくりや介護予防などの事業が実施されています。
健康寿命の延伸に向けた主な取り組みには、次のようなものがあります。
- 健康診査や検診の実施:生活習慣病などの早期発見・予防につなげる
- 運動機会の提供:体操教室やウォーキングなどを通じて身体活動を促す
- 食生活の改善:栄養に関する情報提供や食生活改善の支援を行う
- 介護予防の推進:運動機能や口腔機能などの維持・向上を支援する
- 地域での健康づくり:住民が身近な場所で継続的に取り組める環境を整える
こうした取り組みは、病気や要介護状態になってから対応するだけでなく、健康な段階から予防に取り組むことを重視している点に特徴があります。
高齢者の就労と社会参加を支える取り組み
高齢者が希望や能力に応じて働いたり、地域活動に参加したりできる環境づくりも進められています。就労や社会参加は収入の確保だけでなく、人とのつながりや生活の目標を持つことにもつながります。
高齢者の就労・社会参加を支える主な仕組みには、次のようなものがあります。
取り組み | 主な内容 |
|---|---|
高齢者雇用の促進 | 希望や能力に応じて働き続けられる環境づくりを進める |
シルバー人材センター | 地域の高齢者に経験や能力を生かせる就業機会を提供する |
ボランティア活動 | 福祉や地域活動などに参加する機会を設ける |
生涯学習 | 講座や学習活動を通じて知識を深め、人との交流を促す |
地域活動 | 自治会や地域イベントなどへの参加を通じて役割を持つ |
重要なのは、すべての高齢者に就労や社会参加を求めるのではなく、本人の希望や健康状態に応じて選択できる環境を整えることです。
地域で高齢者を支える介護予防と生活支援の仕組み
高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を続けるためには、介護予防と日常生活を支える仕組みが欠かせません。厚生労働省「令和6年度介護保険事業状況報告(年報)」によると、2025年(令和7年)3月末時点の要介護(要支援)認定者数は前年同月末比12万人増の721万人に達し、第1号被保険者に占める認定率は19.7%を記録しています。
地域で受けられる支援の例
- 介護予防活動:体操や運動、交流などを通じて心身の機能低下を予防する
- 生活支援:買い物や移動など、日常生活上の困りごとを支援する
- 相談支援:地域包括支援センターなどで介護や生活に関する相談を受け付ける
- 通いの場づくり:地域住民が集まり、交流や健康づくりを行える機会を設ける
- 見守り活動:地域住民や関係機関が連携し、孤立や生活上の問題に気づける体制をつくる
介護が必要になってから支援するだけでなく、元気な段階から地域とのつながりを持ち、心身の機能低下を防ぐことが重要です。
高齢者が安心して暮らせる環境づくりの重要性
アクティブエイジングの推進には、個人の健康づくりや社会参加に加え、安全・安心な生活環境の整備が欠かせません。住まいや交通、医療・介護、防災などの基盤が不十分な場合、外出や社会参加の機会が削がれる恐れがあります。
高齢者が安心して暮らすために求められる環境には、次のようなものがあります。
分野 | 主な取り組み |
|---|---|
住環境 | バリアフリー化や転倒防止など、安全に暮らせる住まいを整える |
移動 | 公共交通や移動支援など、外出しやすい環境を確保する |
医療・介護 | 必要なときに適切な医療・介護サービスを利用できる体制を整える |
防災・防犯 | 災害時の避難支援や特殊詐欺などへの対策を進める |
地域のつながり | 見守りや交流の機会をつくり、孤立を防ぐ |
安心して暮らせる基盤があることで、健康づくりや社会参加にも取り組みやすくなり、アクティブエイジングの実現につながります。

アクティブエイジングを実践するうえで意識したいポイント
アクティブエイジングを実践・支援する際は、健康づくりや社会参加を一律に求めるのではなく、一人ひとりの状態や希望を尊重することが大切です。ここでは、本人や周囲の人が意識したいポイントを解説します。
年齢だけで「高齢者」とひとくくりにしないこと
高齢者と呼ばれる年代であっても、健康状態や体力、生活環境、経験、価値観などは一人ひとり異なります。年齢だけを基準に「高齢だからできない」と決めつけると、本人が能力を発揮する機会や社会参加の選択肢を狭める可能性があります。
年齢だけで判断しないためには、次のような視点が大切です。
- 本人の健康状態や体力を確認する
- これまでの経験や得意なことに目を向ける
- 本人が希望する生活や活動を尊重する
- 年齢を理由に就労や社会参加の機会を制限しない
- 必要な支援の内容や程度を一人ひとりに合わせる
個人差を尊重することで、その人に合った健康づくりや社会参加を実現しやすくなります。
無理なく継続できる健康・社会参加の方法を選ぶこと
健康づくりや社会参加で最も重要なのは、一時的な努力ではなく「無理のない継続」です。体力や健康状態を無視して過度な活動を行うと、かえって継続を阻む原因になりかねません。
継続しやすい方法を選ぶポイント
ポイント | 具体例 |
|---|---|
体力に合わせる | 短時間の散歩や軽い体操などから始める |
興味を生かす | 好きな趣味や得意な活動を選ぶ |
生活に取り入れる | 買い物で歩くなど、普段の生活のなかで体を動かす |
負担を調整する | 活動する頻度や時間を体調に合わせて調整する |
人と一緒に取り組む | 家族や友人、地域の人と一緒に活動する |
健康づくりや社会参加に決まった形はありません。本人の体調や生活状況に応じて内容を見直しながら、自分のペースで取り組むことが重要です。
本人の希望や生きがいを尊重することが重要な理由
アクティブエイジングでは、周囲が考える「望ましい高齢期」を押しつけるのではなく、本人がどのように暮らしたいのかを尊重することが重要です。仕事を続けたい人もいれば、趣味や家族との時間を大切にしたい人、穏やかな生活を望む人もいます。
本人の希望や生きがいを尊重すべき理由は、主に以下の5点です。
- 自分で選択することが生活への意欲につながる
- 好きな活動であれば無理なく継続しやすい
- 役割や目標を持つことで生きがいを感じやすくなる
- 本人らしい生活を続けることがQOLの向上につながる
- 周囲から活動を強制されることによる負担を避けられる
アクティブエイジングの目的は、すべての人に同じ活動を求めることではなく、本人が望む暮らしの実現に向けて必要な支援や環境を整えることにあります。

まとめ
アクティブエイジングとは、年齢を重ねても生活の質を保てるよう、「健康」「参加」「安全」の機会を最適化していく考え方です。WHOが2002年(平成14年)の政策枠組みで示したもので、若さを保つアンチエイジングとは一線を画します。
背景にあるのは深刻な高齢化の進展であり、2024年(令和6年)10月時点の高齢化率は29.3%に到達。2022年(令和4年)時点で平均寿命と健康寿命には男性では8.49年、女性では11.63年の乖離が存在し、この縮小が喫緊の課題となっています。一方で、2024年の65歳以上就業者数は930万人と過去最多を更新しており、社会参加の着実な広がりもうかがえます。
実践に特別な準備は必要ありません。運動・食事・睡眠を整え、趣味や学習を楽しみ、地域活動や就労、家族や友人との交流を続けることが、そのまま取り組みになります。日本でも健康寿命の延伸、就労・社会参加の支援、介護予防や生活支援の仕組みづくりが進められています。
大切なのは、年齢だけで一律に判断せず、本人の希望や体力に合わせて無理なく続けられる方法を選ぶことです。その人らしい暮らしを支える視点が、充実した高齢期につながります。
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よくある質問
Q.アクティブエイジングについて厚生労働省はどのような取り組みをしている?
厚生労働省では、「アクティブエイジング」という名称の単一の制度を設けているわけではありません。しかし、健康寿命の延伸や介護予防、高齢者の就業・社会参加など、その考え方と関連するさまざまな施策を推進しています。
代表的な取り組みとして、次のようなものがあります。
- 健康づくりを推進し、健康寿命の延伸を目指す
- 介護予防や高齢者の自立した生活を支援する
- 高齢者が希望に応じて働き続けられる環境づくりを進める
- 地域で高齢者の生活を支える体制を整備する
- 高齢者の社会参加や生きがいづくりを支援する
こうした施策の背景には、2025年(令和7年)3月末時点で要介護(要支援)認定者数が721万人に達したという実態が存在します。
Q.アクティブエイジングとアンチエイジングの違いは?
アンチエイジングは一般的に、加齢に伴う身体機能や外見の変化に対処し、健康や若々しさを維持することを目指す考え方です。一方アクティブエイジングは、年齢を重ねても健康を維持し、社会と関わりながら安心して自分らしい生活を送ることを重視します。
比較項目 | アクティブエイジング | アンチエイジング |
|---|---|---|
主な目的 | QOL(生活の質)の向上 | 健康や若々しさの維持 |
重視する点 | 健康・社会参加・生活の安心 | 加齢に伴う変化への対策 |
主な取り組み | 健康づくり、社会参加、環境整備など | 運動、食生活、美容など |
Q.プロダクティブ・エイジングとは何が違う?
プロダクティブ・エイジングは、高齢者が経験や知識、能力を生かし、就労やボランティア、家族への支援などを通じて社会で役割を持つことに重点を置いた考え方です。
アクティブエイジングとの違いを整理すると、次のとおりです。
- アクティブエイジング:健康・参加・安全を幅広く捉え、QOLの向上を目指す
- プロダクティブ・エイジング:高齢者の経験や能力を生かした活動や社会的な役割に重点を置く
- 共通点:高齢者の能力や主体性を尊重し、社会とのつながりを重視する
両者は相反する考え方ではなく、重視する範囲や視点が異なります。
Q.アクティブエイジングは何歳から意識すればよい?
明確な年齢の決まりはありません。高齢になってから初めて意識するものではなく、若いうちから将来の健康や社会とのつながりを考え、できることを日常生活に取り入れていくことが大切です。
例えば、年代にかかわらず次の行動を意識できます。
- 運動や食生活、睡眠などの生活習慣を整える
- 趣味や学習を継続し、新しいことにも挑戦する
- 家族や友人、地域とのつながりを大切にする
- 将来の働き方や社会との関わり方を考える
- 年齢や健康状態に合わせて活動内容を見直す
平均寿命と健康寿命の差が男性で8.49年、女性で11.63年ある(2022年/令和4年)ことを踏まえると、若い時期からの生活習慣形成が大きな効果を生みます。もちろん高齢になってからでも遅くはなく、体力や生活状況に応じた無理のないアプローチが肝心です。
[メディルン]編集部
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